シンポジウム

音楽映像をどう捉えるか―1970年代以降のポピュラー音楽史のために―

14:00-17:00 A301教室

関西大学社会学部創設50周年記念事業

パネリスト
住友利行(元テレビ神奈川プロデューサー)
稲増龍夫(法政大学)
輪島裕介(大阪大学)

司会
小川博司(関西大学)

シンポジウムの狙いと概要

 音楽と映像の最初の結びつきは映画音楽だった。映画音楽については多くの研究があり、JASPMでも2005年弘前大会で、ポピュラー音楽と映画に関するシンポジウム「インダイレクト・ナラティヴズ:音楽と映画をめぐって」が開かれた。
 テレビ普及後、ポピュラー音楽とテレビの結びつきは強固なものになった。テレビの音楽番組の内容は研究の対象にされたが、テレビの音楽番組じたいについての研究は多くはない。1980年代初めに現れたMTVについての研究は国外では盛んだったが、国内では少数にとどまっている。1980年代の日本ではイメージソングを用いたテレビCMがMTVの代替となっているという指摘もあった。80年代半ば以降、日本でもミュージックビデオの制作は盛んになったが、研究じたいは少ない。
 一方、ポピュラー音楽の歴史研究は、1960年代まではさまざまな成果が出てきているが、1970年代以降については1960年代までの時期のような成果が出ているとはいえない。その一因として、資料としてのテレビ音楽映像へのアクセスが困難なことと、音楽映像を史料として扱う方法が確立されていないことがあげられるかもしれない。
 1960年代末から1970年代初めにかけて、フォーク、ロック、ニューミュージックといった新しい勢力が台頭した。これらのジャンルのミュージシャンの多くはテレビに出演することを良しとせず、テレビの音楽番組はポピュラー音楽の一部を映し出すものにすぎなくなった。
 そのような状況のなかで、テレビ神奈川の音楽番組には、RCサクセション、荒井由実はじめ、多くのフォーク、ロック、ニューミュージック系のミュージシャンが出演した。関西大学日本ポピュラー音楽アーカイブ・ミュージアムプロジェクトでは、テレビ神奈川のご厚意により、1970年代の『ヤングインパルス』、80年代の『ファイティング ‘80s』などをデジタル化する作業を続けてきた。
 本シンポジウムでは、テレビ神奈川が制作してきた音楽番組に焦点を当て、当時のテレビとポピュラー音楽との関係を浮き彫りにする。そして、テレビメディアとポピュラー音楽の関係、音楽映像とポピュラー音楽の関係、1970年代以降のポピュラー音楽史をどのように研究していくか、可能性と課題について議論したい。
 まず、テレビ神奈川で『ヤングインパルス』『ファイティング‘80s』など音楽番組のプロデューサー、ディレクターを務めてこられた住友利行氏に、どのようにして蒼々たるミュージシャンの出演が可能になったのかも含めて、テレビ神奈川と音楽のかかわり、70年代、80年代の音楽番組の現場について、具体的なお話を伺う。次に、60年代のGSや70年代以降のアイドル文化に詳しい稲増龍夫氏からテレビとポピュラー音楽の関連についてお話をいただく。そして、演歌、リズム歌謡と、60年代から70年代にかけてのポピュラー音楽史を研究してきた輪島裕介氏に、70年代以降のポピュラー音楽史をどのように研究していったらよいかお話していただく。以上を踏まえて、登壇者、フロアを交えて、音楽映像とポピュラー音楽史研究の今後について議論していきたい。


以上文責:小川博司(JASPM29 大会実行委員長・同シンポジウムコーディネーター)

登壇者プロフィール

住友利行
元テレビ神奈川プロデューサー。1979年テレビ神奈川入社。
制作にかかわった主な番組として、ディレクターとしては『ヤングインパルス』、プロデューサーとしては『ファンキートマト』『ファイティング‘80s』『LIVE TOMATO』などがある。

稲増龍夫
1952年生まれ。法政大学社会学部教授。専門は社会心理学、メディア文化論。主な著書に『アイドル工学』(筑摩書房))、『パンドラのメディア―テレビは時代をどう変えたのか』(筑摩書房)、『グループサウンズ文化論~なぜビートルになれなかったのか』(中央公論新社、近刊)など。顧問を務めている法政大学自主マスコミ講座からは多くのアナウンサー、マスコミ人を輩出。

輪島裕介
1974年生まれ。博士(文学)。大阪大学大学院文学研究科准教授。専門は音楽学。主要なテーマは、近代日本大衆音楽史、アフロ・ブラジル音楽研究。主な著書に『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』(光文社)、『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』(NHK出版)がある。 

小川博司
1952年生まれ。関西大学社会学部教授。専門はメディア文化研究、音楽社会学。現在のテーマはノリと社会変動。関西大学日本ポピュラー音楽アーカイブ・ミュージアムプロジェクトも進めている。著書に『音楽する社会』(勁草書房)、『メディア時代の音楽と社会』(音楽之友社)、『メディア時代の広告と音楽』(共著、新曜社)など。

  • 最終更新:2017-11-20 16:24:53

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